7.23.2013

46_就活言論 宮台真司_05

「『仕事での自己実現』が、マルクスが企図した本来性の回復なのか、多品種少生産時代を迎えた<システム>のマッチポンプなのか、先験的には言えません。でも、本拠地を失ったがゆえに仕事における承認を求めるしかなくなったのならば、その限りでは答えは明白です」

「.. いずれの場合も、長い間働くうちに『勤勉さや忠誠心が大切だ』『分相応にこつこつやり遂げることが大切だ』などの職業倫理が身に付き、気がつくと当然のように『生活=仕事』『仕事=人生』となって、仕事抜きの自分を考えることができなくなっただけです」

「.. そんな可能性の低いことに賭けるよりも、勤め先が倒産してり売上げ減で給料が下がったりして仕事で不本意な目に遭っても、承認から見放されず尊厳(自己価値)を手放さなくて済むような関係性を-つまりは本拠地を-仕事以外の場で構築維持するほうが現実的です」

<転職希望率の推移> 総務省資料