7.20.2013

46_就活言論 宮台真司

「災害ユートピア」とは、災害になると普段利用しているシステムが全く利用できなくなるので、システムを前提にした地位役割が無効化し、代わりに完全平等と利他性を二要素とする協働空間が前景化することを言います。日本でも阪神・淡路大震災で経験しました。
でもシステムが復旧するにつれて、システムと結びついた地位役割や、それと結びついたルーティンが復活します。完全平等と利他性を柱とする「災害ユートピア」は、「あれはいったいなんだったんだろう」という具合に、儚く消え去ります。それは万国同じです。
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<従来のゲームが前提に充ち満ちたものだという感覚>-僕は「震災後の意味論」と呼びます-が、『魔法少女まどか・マギカ』や『コクリコ坂から』など震災前から企画されて震災後に完成したアニメ表現も先取りされています。不思議なことです。
今から15年前、オウム事件前から企画されてオウム事件後に完成した『新世紀エヴァンゲリオン』が、<イデオロギーないし宗教的な大言壮語が全て自意識の相関物にすぎないという感覚>-オウムの意味論-を先取りしていました。それとよく似た事態です。

「就活言論」 宮台真司

ghostwriter