1.18.2013

女性の社会進出とクオータ制の是非

affirmative actionとしてのクオータについて。
国会議員数における女性の割合(多数の国で実施)、大学等の学生数における人種の割合(かつて米国の一部の州で実施)、特定規模の事業所の雇用者数における障害者の割合(現在日本で実施)などの不均衡を強制的に平衡させる政策(=クオータ)や、日本の被差別部落における(周囲に比較して集中度の高い)公的施設の設置などをアファーマティブ・アクション(積極的是正措置)といいます。これには「本来的に社会に備わる自発的・自律的な不均衡是正」を阻害するリスクが含まれますが、実害を及ぼす、または(人道的理由などで)容認出来ない程度の不均衡を、行政が強制的に是正、または誘導するというものです。 たとえば、日本の「社長」に占める男性率の高さは異常であり、このことが有能な女性のビジネス進出の機会を奪うことによって経済の成長にネガティブな影響を与えているとすれば、経済政策の一環としてアファーマティブ・アクションがとられてしかるべきであり、また「基本的人権としての男女の平等」という理念と現状が、容認出来ない程度に乖離しているという理由でこの施策が有効であるという考え方です。 ポイントは、アファーマティブ・アクションがとられることは理想の状態ではなく、ある意味での必要悪(second best option)であり、施行される際に「期限」または「数値目標」が必要な、「いずれ終結すべきもの」だということ。期限が来ても「やっぱり全然ダメ」な状態であれば延長という選択肢が採られます。 この視点は、いろいろな種類の「政治的闘争」について論じる際にとても重要です。

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