6.28.2013

37_約束された場所で_05

「例えばこられた人が、『私はこういう問題で悩んでいるんです』と言われたときに、ぜんぜん父親について触れない場合があります。そういうときに、『失礼ですけど、お父さんはどんな方ですか?』と尋ねない場合があります。それは訊く必要がないんです。それよりもその人の『真実』のほうに興味があります」

「.. 高校生なんかが来て、『僕は学校行ってへんでー』という話をしたりすると、『ふーん』という感心して聞いているだけです『ところであんたのお父さんは?』なんてことは絶対に言いません」その人の真実が浮かび上がってくることが大切ですから。そっちに焦点を当てます」

起こった事実(というものがあるとして)はヒトの心を揺さぶりません。ヒトの心を揺さぶるのは、起こった事実とそのヒトの関係、つまり「出来事」です。それがそのヒトにとっての真実。なぜなら、私たちは事実になんらかの意味付けをせずにはそれを認識することが出来ないからです。

河合隼雄との対談中の河合隼雄の発言 「約束された場所で」村上春樹

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