4.04.2013

脳が変わる生き方_03

「脳科学で言う「心の理論」、他人の気持ちを理解するということ。これは、科学的に言うと、いわゆる『不良設定問題』です。他人の心なんて、絶対に理解出来ません。
例えば、誰か大切な人がいたとします。その人と目が合ったとします。目は心の窓ですから、その向こうに心があるわけですが、その心は絶対に理解出来ない。理解したことにしているだけです。わかったことにするだけです。
他人と目が合ったときに、なぜわれわれはドーパミンを出すのかという、有名な論文があります。これは単に、他人と目が合うことが、甘いキャンディーをなめたときのよな、うれしいことであるというだけではない。
われわれは他人と目が合い、アイコンタクトをするとうれしい、と言います。それを説明するときに、『アイコンタクトは』、他人と関係を持ちたい、関心をもたれたいという<関係性欲求>を満たすから、報酬物質であるドーパミンを出す』という解説をします」

私たちは、自分の欲求によってブレる判断を修正することが出来ます。どういう欲求が判断をどう歪めるか、を想像することができるからです。しかし、自分で把握していない欲求が及ぼす作用についてはノーガード。酒飲みの論理に陥ります。自分で把握していない欲求の代表格は<関係性欲求>です。

脳が変わる生き方 茂木健一郎