1.06.2014

東浩紀_02

東:ある種のこう、純粋さというか、高度成長期からバブル期にかけて作られた、日本の社会の同一性みたいなものっていうのは、そのままネットに焼きこまれて、で、しかもネットにおいてもっとピュアな形で実現しているというか、まあある意味、戦後民主主義的な世界なわけ。あらゆる人が対等で、あらゆるクレームに対応しなくてはいけなくて、そして全員弱いものの味方っていう社会が出来たってことだと思うんですよ。

東:2010年の就職活動の写真と、1985年の写真なんですよ。両方共女性の集団の写真なんですけど、1985年の写真っていうのは、リクルートスーツなんていうのが、まだなくて、全員バラバラの服を着てるんですよ。女性たちは。髪型もバラバラ、持ってるバッグもバラバラ。ところが2010年がどうなるかっていうと、完全に同じ髪型で、同じ服で、同じバッグ、同じ靴になってるんです。びっくりしますよ、それは。この20年間、日本社会は何をやっていたんだと。結局、新人一括採用みたいなものが消えなかっただけじゃなくて、むしろ強化されている。SNSなんかの同調圧力によって。

中台:(就活期のマスコミ志望の学生に)マスコミってどういうところか知ってるの?と話すと、みんな知らないわけですよ。で、真っ青になる。で、みんな改心してマスコミをやめるかっていうと、そうはならない。ぼくから離れるんです .. 見ないふりをして忘れていく .. 真実とかそういうのは、まあヨコに置いといて。

神保:既得権メディアでぬくぬくとやっておいて、まあ給料もあんまり変わんなくなってきたよって言って、こっち(ネット報道)に移ってくるっていうのは、100対1くらいで競争力ないですから。まったくネットでは通用しない存在になってるから。昔はね、出口シナリオを書いてマスコミに行けよって言ってたんです。いまは出口シナリオないです。そのまま心中するつもりで行ってください、とぼくは言ってますけど。

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