5.21.2013

ボディ・イメージ


さて、実験の結果、サルはこのロボットアームを自在に動かして、机の上に置いてあるものを掴んだり置いたりできるようになった。そうなったところで、またさっきのネズミの例と同じように、手術して脳に電極を刺して脳の活動を記録する .. こうして収集したデータを、次にロボットアームに直接つなぐ。そうすると、ロボットアームはそのとおりに動く。この場合は、サルはジョイスティックを使ってコントロールしているんじゃなくて、自分の神経細胞の活動から記録されたデータに基づいてロボットアームの動きを再現してるんだ。
ということは、サルはジョイスティックを握って操縦している気でいるのかもしれないけど、本当はジョイスティックを経ずに、ロボットアームを脳から直接に遠隔操作していることになる。
さらに、この実験の後で、実験者はサルの手を動かないように縛っちゃった。それでもサルは、巧みにロボットアームを操ることができた。

「進化しすぎた脳」池谷裕二著

我々がボディ・イメージが幻想であることに気づくべきではない理由は、それが単なる物理的な境界線のメタファーであるだけではなく、「自己」が揺るぎない境界線によって守られているというイメージのメタファーだからである。

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