だが、私はこの時はヨガも瞑想も練習しなかった。
なんだかバカらしく感じたのだ。だって、自分というものがなくなってしまったらつまんないじゃん、って思った。22歳の私には、自我を消すということがうまく理解できなかった。そんな風に透明の自分になってしまったら、おもしろいことも、悲しいことも何も感じなくなってつまんないんじゃないかって思ったのだ。だったら私は悟らなくてもいいや。って。
鏡のように真っ平な平静な心にあこがれはしても、自分がそうなりたいとは思わなかった。恋もしたし、金も欲しい。物欲にまみれて心は乱れても、それが人生じゃん、って私は思ったのだ。
「できればムカつかずに生きたい」 田口ランディ
ghostwriter