1.19.2016

岡田斗司夫_02


.. こういうのを天国だと考えてる人もいます。ぼくのツイッターのフォロワーにも、ベーシックインカムの世界になったら、本毎日読んでるよとか、気楽に生きられるのにな、とか言ってるひとはいます。ぼくはそういうふうに考えていない。なぜかというと、これを読んだことがあるからです。この「果てしなき河よ世界を救え」には
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ではこれをベーシックインカムの世界にあてはめたらどうなるのか?ぼくらは、月に5万円とか10万円を手にしたら、本当に自分の好きなことをするのか?ぼくらの心はそんなに強く出来ていない。ぼくらの心はもっと弱くて、だれかに依存したり、これでいいんですかと頼ったりするのがぼくたちの本質なんですね。だから、おそらく、月に5万円とか10万円もらうようになったら、たぶん、だれかのところに「入りたく」なるんですよね。だれかのところ、もしくはどっかのサークル入りたくなるんです。自分のもらった10万円をすべてそこにあずけて、そのなかから5万円だけもらって、そこにある備蓄の中から食料品とか住むところとかをもらって、そこで自分たちは幸せだと思って暮らすようになる。でないとぼくたちは、どっかの国の国民になってその国に税金を払って、おとなしく生活してるはずがないんですよね。ベーシックインカムの世界というのは、一番最初のスタートラインは天国みたいに見えるんですけど、おそらくそれが成立したらあっという間に上下差が発生して、せっかく一度もらった権利を、だれかのもとに所属したいとか安心したいとかいう理由で、たぶん半分以上の人間は簡単に手放してしまって、そのかわり、なんでしょう、ベーシックインカムの世界の恐怖はなにかっていうと、恐怖っていうか、そのかわりに彼らが得られるものは、安心と悪口ですね。だって、毎月10万円もらってたら、自分が幸せかどうかは自分の責任になってしまう、自分がモテないのはなんでかとか、自分に友達が出来ないのはなんでかっていうのが自分の責任になってしまう。もう、悪口を言う相手がだれもいなくなってしまう。でも毎月10万円のベーシックインカムがありながらどっかの組織に入って、その一員だと思って暮らしていたら、悪かったらその組織のトップなり社長の悪口を言ったらいいんですね。人間というのは、このちょっとした安心を得るために簡単に奴隷になってしまうんじゃないかっていう。

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