5.24.2015

けしからん罪、被害者家族感情

青木理:.. もうひとりね、ぼくの取材した(被害者の)ご遺族ですけども、加害者の方は死刑判決が出て、もう執行されているんですけども、遺族のほうがね「死刑にしないでくれと」言ったわけです。そうしたらなにが起こったかっていうと .. その人の家にいやがらせの手紙や電話がいくつも来たっていうんですね。これはおそらく、観客と言うか憑依している人なのか分からないけども、悲しんで、加害者の処刑を望んでっていうのが、被害者遺族であると。にもかかわらず「お前はなにを言ってるんだ」ということなわけですね。このなんというか、歪んだ気持ちというか .. ぼくは本当に人間の一番イヤなものを見たなあと思ったんです。

わが国の司法制度の、とくに量刑の分野において問題なのは、「けしからん罪が存在する」と「被害者感情や被害者家族の感情が量刑を左右する」のふたつだと言われています(警察・検察の取り調べ手法の密室性と、死刑制度の存続を除いて)。
前者は「反省の色が見られないこと」が量刑を重くするケースが実際にあること。「素直に自白すれば求刑を軽くしてやる」という事実上の司法取引に応じた被告人が裁判所で「やはり本当のこと」を語ったときに「反省の色が見られない」ので酌量されない(刑が重くなる)というケース。
後者は、もし被害者や被害者家族が残念なことに尊敬すべき人格者でなく、重刑を望んでいる場合に量刑の重さがその事実を反映することがある、というケース。

「木嶋佳苗裁判 死刑に値する立証は行われたのか」
https://www.youtube.com/watch?v=v8zDSHNhBNY

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