10.03.2014

S12

サラリーマンを12年やったことがあります。全部旅行会社で6社。日本で3社、米国とカナダで3社。旅行会社の
カウンターにはいろいろなひとが来ます。東京S社のカウンターにベビーカーを押してやって来たコロンビア人家族は申しわけなさそうに自国に帰りたい、と言い(米国トランジットのビザが取れないので、ほぼムリ)、大阪H社に来たおじさんはタイで出家するんだけどどの寺がいいか?とわたしに訊き(知りません)、上海までのフェリー券を手配してあげた女子大生はわたしのアドバイスを完全に無視してほぼ民泊だけで陸路世界一周して帰って来ました。自分の人生にコミットした、愛すべき人たちです。
わたしも同僚たちもその仕事がとても気に入っていました。そこにいるとホンモノの人生を生きる人たちに会うことが出来たからです。ぼくたちはハネムーンの手配が嫌いでした。トラブルがイヤという理由もありましたが、なによりもくだらなかったからです。バレンタイン・チョコレートの延長だったからです。
ぼくたちの生きている世の中は、バレンタイン・チョコレートの延長で覆われています。そこから外に出る良い方法のひとつは、移動することです。移動にコミットすると移住になります。自明の関係性の外から自分を見つめ直して、自分を支えていたものがなになのか、それに支えてもらい続けるのか、いったいどうするのか全部自分で決めて、あいまいなところをなにも残さない生き方に、いきなり直面することが出来ます。

7月にfacebookに投稿した文章。

ghostwriter