でもちゃんと言うことはありますよ、「あんた、もし早く治りたいんやったら、よそへ行ってください。僕のところでは早くは治りませんよ」と。向こうは「へえ」ってびっくりします。「僕は治すということに熱心なんかどうか、わからないんですよ」と言います。「僕は治すことに熱心なんじゃなくて、あんたが生きることに熱心なんやから、それはほんまに長い時間がかかります」もしどうしても早く治りたいんやったら、ほかにこういうところもあります」と。
時間がかかるのはかなわんと思う人は、そっちにかわってくださいと言うんです。でもそういう人たちはちゃんとわかるんです。「治らなくてもても結構です」という人もいます。もっと極端な人は「直してもらうためにここに来てるんではありません」と言います。すごいです。
でも中には「先生とこ来てもちょっとも治らへん。どこそこ行ったら、こんなんすぐ治るそうです」と言う人もいます。僕は「それはなあ、なるべくなら行かんほうがええと思うけど、どうしても行きたいんやったら行ってください。そのかわりいつでも帰ってきてくださいね」と言います。それで、そこに行ったらばあっと症状は治るんです。治るけど、それからが大変です。で、めちゃくちゃになってまた帰ってきます。でもいっぺんそういうのを経験していますから、「まあ、ゆっくり行きまひょか」と言うて、やりなおします。
河合隼雄圧巻。
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