5.16.2013

26_「ソシュール」 J.カラー著 河本茂雄訳


..この疑問が種々な分野で発せられていたのであって、ソシュールが与えた回答は模範的なもので。すなわち、事物の絶対的な、換言すれば神にまがうような見識に達することは望み得べくもなく、人はある眺望を選び、この眺望の内部で事物はなんらかの本質によってではなく、むしろ事物相互のあいだの関係によって定義される、とするのである。
「ソシュール」 J.カラー著 河本茂雄訳

眺望..キリトリ方
事物相互の関係による定義..価値が浮遊すること

浮遊する価値の向こうになにか(ってブラフマンですが)があるかどうかはさておき、なにもないかもしれないけれども、世界を形成するすべての価値が相互関係によってのみ規定されていると知ること、そしてそこから離れようとすること、離れるためには価値=意味=言語記号=世界に引かれた境界線をとことん芋づる式に手繰り寄せ、端に自我が付いているのを確認すること、確認したら芋のように自我を剥くこと。

だから、ごはんを食べてお腹いっぱいになった自分は実在じゃねえか、とか、この手を動かしてるのはオレなんだよ、とか言っててはダメなのであって、感覚の認識も挙動の制御も幻想という、脳科学で証明されたシステムを理解し、自我という最初の境界線を否定出来たときに世界はどう振る舞うのかを知るために今日も瞑想。


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