「メルトダウンが起こっているのに、私がやるべきことは香典返しの準備なのである」
「神戸にさえ行けば、そこに震災という現実があるのだと思った」
「生きるも死ぬもままならぬものを、なぜ人を殺す刑があるのか .. 私は黙っておれない。制度に反対するためではない。私自身のためだ。私が私であるために、ひるんではいけない事があるのだ。林さんの死も、益代さんの死も、すべての人の死は等しい。すべての人の命も等しい。だから、人を殺してはならない」
「津波は、思ったよりもずっと静かにやってくる。津波は、波ではない。創造を超えた圧倒的な暴力。」
「私にとって『安心』とは、理由を知ること。不幸の理由が、自分のせいではないことを知る。これが『安心』だ」
「子どもの頃、いつも不安だった。親が怒るのはすべて私が原因なのではないか、私が悪いからではないのか .. それはアルコール依存症の親の家庭に育った子どもの特徴だとも教えられた」
「津波の映像に魅了されてしまったのは、私の幼少の記憶に関係があると思う。不条理な暴力にあっけなく呑み込まれた街を見て、なにかを再確認していたのだ。ああ、そうだった。このようなことがあるということを忘れていた。世界はこのように理不尽だったのだ」
"サンカーラ" 田口ランディ
ghostwriter